会長挨拶

 日本は世界に先駆けて高齢化が進み、プライマリ・ケアにおいてもその対応が喫緊の課題となっています。本会のテーマは“皆で織りなすプライマリ・ケア:Learn, Serve, Lead ” としており、プライマリ・ケアの現場ではすべての職種は「学び、奉仕し、社会をリードする」ことが必要であるという意味を込めています。
 近年、新専門医制度が開始され総合診療専門医が整備されてきましたが、プライマリ・ケアでは以前から「社会に奉仕して学び続ける」ことをモットーとしてきたと思います。このエッセンスは時代を超えて不変であり今後も守るべきものであると同時に、健康予防・意識の変化、医療・介護でのイノベーション、医療・介護制度の変化に対応したプライマリ・ケアが求められています。
 今回の大会では、高齢化社会に奉仕するプライマリ・ケアで、今後重要となる種々のキーワードに着目して、シンポジウム、教育講演を企画しました。高齢社会で重要となる虚弱(frailty, フレイル)、サルコペニアは身体面・精神面のみならず社会的側面も併せ持っている問題です。近年注目されている多職種連携については、言葉だけでなく本来の機能を発揮できるためには何か必要かについて、ポリファーマシー、リスクマネジメントなどを切口に議論したいと思います。また、若手育成のために(教育はわれわれ自身も学び続けることでもあります)、今後のプライマリ・ケアでのキャリアのあり方について、他専門領域(内科、救急科など)との関連に注目し、研修医・学生の生の声も含めて議論をしたいと考えています。
 本会は短い日程ですが、皆様のご参加により、演者とオーディエンスが一体となり、職種・年齢を超えた熱い一日となることを期待しております。

京都府立医科大学大学院教授
総合医療・医学教育学 山脇正永